第18回ファンタジーノベル大賞 大賞受賞作。新聞広告の絶賛に半信半疑のまま読み始めましたw



冒頭から、いいですね!

春風駘蕩という四字熟語をこの小説が具体的にした、という感じです。

ほわぁっとね。

おっとりのんびり、而して恋愛かつ大冒険譚というところが、なんとも楽しい。

ラストもじぃんと、とってもよい。



帯のコピーがふるってました。

辛辣な美少女仙人と弱気なニート青年が、天地陰陽をひとっ飛び!

今年のワタクシ的腰巻大賞候補(^o^;)でございますよ、これは。



この小説のタイトル関連で、ちょっと本文陰陽ぢゃなくって引用。

「名乗っておかねばなるまい。姓は僕、名も僕、字(あざな)はそうだな、野人とでもしておくか」

「僕僕?」

 真面目な顔をしてからかわれているのかと彼はあっけにとられる。

だから、美少女仙人の一人称は「ボク」なんですぅ。

でも、白い長い顎鬚のいかにも仙人の姿にもなれますぅ。←これじゃ恋愛しにくいっす。

なお、時代は唐、楊貴妃の色香に迷う前の若き玄宗皇帝の時代。

時代背景などは最小限しか書いていませんが、ちゃんとするところはちゃんとしてるのが、この小説のもうひとつの魅力なんだろうと思う。


中国ものの日本文学といえば、漢字がいっぱいで文章が硬いという印象がありますが、そういうイメージを払拭する桃源郷的ふんわり感です。




余談:連想本

○このファンタジーノベル大賞の第13回優秀賞受賞作『しゃばけ 』(畠中恵)は江戸物ですが、『僕僕先生』は中国版のああいう(←知ってる人しかわからんじゃん)テイスト、といってもよいかな。でも、優秀賞と大賞の差はあるかも。

 しゃばけ  



○中国、唐時代を舞台にしたエンタメ近作では、『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 』(夢枕漠)も面白かったですが、向かうべき魑魅魍魎とかnnnといったものに『僕僕先生』は逆ベクトルから迫ると言う感じ。

      沙門空海唐の国にて鬼と宴す  

わたし、巻ノ三半ばまでしか読んでなかった(^o^;)