仕事から帰ってお茶しながら、わたしは「大臣はもう辞任したかな」と言ったらしい(記憶がない。Mから話題を振ったと私は思っていた)。

ふだん、政治や社会的問題でマジな見解をいわないM(いっぱい思ってるくせに、いつもギャグしか言わない)が、いつになく真面目な顔で言い始めた。願ってもないことでございますね。


「今度の柳沢のあの発言は、そうおかしくはないと思う。本人はすぐに気が付いて言い換えたり、謝罪しているわけだし。こういう過剰反応に、わたしは<天皇機関説事件>を連想しましたね」

「天皇を機関に喩えるのは不敬極まりない」と言って言論統制の第一歩になったこの事件と似ているとは、よくも言うものだ、と、わたしはムカーッ!とする。

「天皇機関説とどこが似てるわけ? 天皇は機関である、だから天皇にどうかしろ、と機関説は言った? 柳沢は言ってるでしょ。『あとは一人頭で頑張ってもらうしかない』って。そこが全然違うんじゃないの?」

「厚生労働大臣としては当然でしょ。日本という国があるわけだから、年金制度の存続のために、どうしたらいいかとマスで考えるのが政治家の仕事でしょ。講演の中で聴衆がよくわかってないなと思ったから、喩えをつかった。その喩えまで、ああだこうだ言われたらなにも言えないでしょ」


議論のための議論でも意地の張り合いでもないので、天皇機関説事件と女性出産機械説事件(爆)は「何かを非人間的なものに喩えるのはまかりならん」と一刀両断にしようとするという点においては似ている、と認めた。しかし!

「あなたね、わかってないんじゃないの? 足を踏んだほうは、踏まれたほうの痛みがわからないっていう、そういうことをあなたはいま、言ってる」

「だから、すぐに気が付いて謝ってるでしょ。それでも許さないというのは、どうかと思うよ。野党はそれが仕事みたいなものだけど、少なくてもこの件に関して辞任要求を出すとすればトロいと思う」

「私は<『機械』に喩えるのは女性差別である、だからけしからん>っていう脊髄反射だけでこんなに怒っているわけじゃない。政府に押し付けられて、あるいは、よろしくお願いしますと言われて子どもは産むものではないと思ってるから、そういうことを大臣に言ってもらいたくない。もっといえば、少子化対策なんかやったって効果ないと思ってる(いわゆる皮膚感覚でわかってる、と自惚れてる)。赤川学の『子どもが減ってなにが悪いか』( 過去記事見てください)の受け売りになるかもしれないけど、これから政府がしなければいけないのは、少子化を見込んだ年金制度の根本的な見直しだと思ってるし、それで年金受給額が少なくなっても仕方ないと思ってる」

 ああ、食えなくたって、それは守りたい、なんちゃって。おばさん、えらくリキはいってます。私一人がリキ入れたって仕方がない話だ。政府はこれをやると中高年から支持が得られないと考えて、少子化対策に重点を置いているのか? なら、それはずりぃぜ。中高年と若者の対立構造を政府が作ってどうする。住みよい社会は望めない。つうか、年金問題の件はまず厚生労働省のとんでもない無駄遣いをやめさせろよ。横道にそれた。


「それに、あの発言は少子化対策を挙げたあとで、あとは生む性である女性頼みだと言ってる? どういう少子化対策を考えているとか、そういうこと言った後にこの発言をしたとは読めないけど」

「たった10行ほどの記事で、ああだこうだ言うのに、最近、うんざりしてる。あの記事は言い直しながら発言を続けたときちんと書いてあったけどね。30分もしゃべったんだから、当然言ってるでしょ」

「言ってるかどうかは推測でしょ」

「普通、言うでしょ。あの論題だったわけだから」

「そうかしらね」

「柳沢ってどういう人か知ってる? バカじゃないよ。竹中と争って、結局、政策で小泉が竹中を取ったというような人」

 それがドーシタ。だから、そういう考えをする人なんじゃないか、という疑いがよけいでてくるんだ。←この不信感


「それに、いまどき、まともに女性を子どもを産む装置って考えてる人なんかいないよ。女性を性的対象として見ることはあっても。たぶん、あの人の家庭生活は、普段リベラルなことを言っていて家庭では亭主関白というのとは違うと思う。日曜日には家族揃ってというようなタイプだな」

「どうして、そういうことがわかるわけ?」

「わたしの人を見る目の確かさで(ニヤリ)。この歌舞伎は古典じゃなくて新しいと、テレビで見ていてわかるわたしですからw」

はん。あほらし。ネタで落としよってからに。




Mは、わたしがカッカしてるようだから冷静になってみたら、と言ったんだなということはわかる。

・言論ファシズムの芽は保守的言論にしかない(私とは無関係w)と思っているのは認識が甘いということ。

・私の感情のアキレス腱は、女性問題、出産、育児(ほかにもいろいろありそうですが)。ここに矢が当たると荒れ狂う(爆) 

しかし、これは私だけではないようだ。テレビを見ていたら、与野党の女性議員も女性ニュースキャスターもマジ怒っている。ほら、見ろ。やっぱり思いっきり足を踏まれたと思うんだ。で、Mはそれを追求しているうちに、肝腎なことがおろそかになるって言いたいわけ?



もうひとつ、思ったこと。

育児は個人的事業であると同時に社会的事業(社会で生きる人間を育てることだから)でもあると思っているが、出産はどうなのか。年金制度のための道具なんかにされてたまるかと、そればかりが私の中でクローズアップされてきたが。

出産はしかし、これから社会で生きる人間を生むことでもある。

がぁぁ、「社会」を「国家」におきかえると、とたんにわたしは、てやんでぇ!とまた、アキレス腱に矢がプスリ状態になる。

なぜなのか? 国家(政府)を信用していないのだ。

それはなぜなのか? そういうことを言う人がいるからだ(x_x)☆\(-_-)バキ

わたしもネタでオチ作ってしまった(^_^ゞドモドモ

でも、ココロのソコではマジ考えているのよ>ほんまか